人事評価制度とは?目的と不満につながりにくい基準と目標設定の方法を解説
更新日: 2024.4.4
公開日: 2022.4.24
OHSUGI
人事評価とは企業が従業員の貢献度や成果を評価することで、給与や役職、その他人事管理をするうえで判断基準となるものです。
従業員の報酬や待遇を決定するための手法として人事評価を導入する企業は多いです。人事評価のシステムをうまく取り入れれば従業員の成長を促すことができ、企業全体の利益にもつながっていきます。
ただし、せっかく人事評価を導入しても、活用方法に失敗すればモチベーション低下やトラブルを招くおそれがあるので注意しましょう。
本記事では、人事評価とはどのようなものか、その内容や評価方法について詳しく解説します。人事評価を導入することで得られるメリットやデメリットについてもあわせて確認しましょう。
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
1. 人事評価制度とは?目的と導入基準を解説
人事評価制度とは、企業が従業員一人ひとりの貢献度や業務成果を評価して、給与や役職に反映させる制度のことを言います。
本章では、そもそも人事評価の意味や目的、制度を導入するべき基準について解説します。
1-1. 人事評価とは
企業が導入している人事評価とは、企業が従業員の働きぶりや貢献度、成果や意欲などを総合的に評価することをいいます。評価の内容は従業員の報酬や待遇に反映されるのが一般的です。人事評価をおこなう時期は企業によって異なりますが、一年ごとあるいは半年ごとに評価を実施する企業が多く、短い企業では四半期ごとに人事評価を実施することもあります。
人事評価は従業員の能力と業績、情意の3種類に分類して評価していくのが適切です。
能力とは業務上必要となるスキルや知識のことを指します。従業員が持ち合わせている能力が業務でどの程度発揮されたのかを適切に評価することが大切です。
業績評価とは従業員が目標をどの程度達成できたか、どんな成果を出せたのかといった評価ポイントです。
情意とは従業員の意欲や責任感、勤務態度といったポイントです。情意は数値化が難しいため、仕事に対する姿勢を細かく見極めて評価する必要があります。
しかし、能力、業績、情意の3種類を実際にどのような要素や項目で評価するのかわからず、人事評価制度の作成が進まないといったケースも多く見受けられます。
そのため、当サイトでは、人事評価制度を作成する際の評価項目の策定手順や、各項目の評価基準の決め方について解説したガイドブックを作成しました。こちらから無料でダウンロードして頂けますので、自社にあった人事評価制度を作りたいとお考えの方は、是非お役立てください。
1-2. 企業が人事評価を導入する基準とは
一般的に従業員数が50人を超えるような企業や事業所では、人事評価制度を活用したほうが効果的であるといわれます。
従業員が50人以下の職場はトップや管理者と従業員が一緒に仕事をする機会が多く、上司が部下の働きを細かくチェックできます。お互いに目が届く位置で仕事をする小規模な職場であれば普段から仕事ぶりを適切に評価できるため、あらためて人事評価をおこなう必要性はそれほど高くないのです。
一方で、50名以上という規模の職場では管理者が従業員の働きを直接見ないケースがあるため、都度の評価やフォローがしにくくなります。適切なマネジメントをおこなうという観点でも、従業員数が多く管理者の限界を超えている場合には人事評価制度で対応するのが最適です。
関連記事:これから人事評価制度を導入する前にチェックすべきポイント
1-3. 人事評価制度を導入する目的
適切な人事評価には、企業の体制をよりよくする大きな効果があります。
人事評価は従業員の昇給や昇進、異動配置、スキルの向上など多くのポイントに影響を与えるため、従業員の不満が出ないように客観的な評価をしていかなければなりません。
ここからは、多くの企業が人事評価制度をどのような目的で運用しているのか、制度の具体的な用途をご紹介いたします。
関連記事:人事評価は「目的の明確化」が重要!仕事の生産性やパフォーマンスがアップ
1-3-1. 企業の方向性を従業員に明示するため
人事評価制度は企業の目標や理念と連携させて運用できます。人事評価をする際に組織の目標を明示すれば、従業員がそれぞれの業務においてどのように貢献できるのかを考え、目標や目的意識を持って日々の業務に取り組めるようになっていきます。
また、企業が期待する人物像を明らかにしておくのも重要なポイントです。企業がどのような働きを望んでいるのかを明示すれば、目指すべき姿や行動指針に沿って業務に取り組むことができます。
1-3-2. 従業員の成果や働きぶりを適切に評価するため
人事評価では、従業員の日々の働きや成果、意欲などを総合的に評価することになります。適切な評価をおこなえる制度が整っていれば、従業員のモチベーション向上につなげることができます。
ただし、公平でない人事評価制度を導入すると従業員は正しく評価されていないと感じてしまうことがあります。従業員の不満の元となってしまうことがないよう、人事評価導入の際には適切な評価基準を設けることが肝心です。
1-3-3. 昇給や昇格の判断を適切におこなうため
人事評価の内容を参考にすれば、従業員の報酬額や待遇を適切に査定することが可能となります。
従業員にとって昇給や昇格はモチベーションに直結する重要な要素です。この部分の評価があいまいだと、従業員は不満や不信感を募らせてしまうことになるので注意したいものです。
明確な人事評価の基準を設けていれば、昇給や昇格の判断がしやすくなり、従業員の納得感も高まります。
1-3-4. 人事評価を元に人材を最適な部門に配置するため
人事評価の内容は、従業員の異動配置について考える際の重要な参考資料にもなります。営業やマーケティングなど特定の部署に配置した従業員が、キャリアを重ねスキルアップする中で別の部署に向いていると判断されるケースは少なくありません。
人材の良さを見極めずに配置をおこなった場合、人材を活かしきれず企業の成長が滞ってしまうことがあります。適材適所に人員を配置するためには、従業員の特性を客観的に判断できる人事評価を参考にするのがよいでしょう。
1-3-5. 人事評価を人材育成や教育に活用するため
人事評価において目標を設定することには、人材育成や従業員教育につながるという良さもあります。人事評価をおこなう際には従業員のキャリアアップを見越した運用を心がけたいものです。
以上のような目的を理解した上で、適切に人事評価をすることが重要です。また、人事評価をする際には、書き方ひとつで従業員の捉え方が大きく異なります。従業員のモチベーションアップにつながるよう、担当者は公正かつ適切な評価を心がけましょう。
関連記事:人事評価の書き方一つで同じ人物でもガラリと変わる!
2. 人事評価の5原則とは
人事評価においては次の5原則を意識することが大切です。
- 公正な評価
- 評価基準の明確化
- 評価基準の理解
- 評価基準の遵守
- 評価責任の自覚
2-1. 公正な評価
人事評価は公正におこなわることが原則です。例えば特定の従業員にだけ有利になるもしくは不利になるような評価は、公正さに欠けます。
公正な評価をおこなうには、どのような基準で評価が下されたのかが明確になっている必要があります。
2-2. 評価基準の明確化
評価基準の明確化は、公正な評価を下すうえで欠かせません。評価対象や評価の尺度などを明確にしておきましょう。例えば、部署や職種ごとにどのような業務を担っているのかを洗い出して、各部署、職種に応じた評価項目を作成しましょう。
2-3. 評価基準の理解
評価基準の理解とは評価基準を従業員が理解している状態です。評価基準を定めたとしても、評価される対象である従業員が理解していなければ、公正な評価とはいえません。明確にした評価基準を従業員に伝えましょう。
2-4. 評価基準の遵守
評価基準を明確にして、従業員が理解している状態であっても、評価者が基準を遵守していなければ意味がありません。評価者が基準を守らずに、独自の観点や私情によって評価を歪めてしまっては公正な評価は下せません。
2-5. 評価責任の自覚
人事評価は従業員の給与やモチベーションに大きく関係する要素です。人事評価が低いといった理由で従業員が納得いかないと、やる気をなくす可能性があります。さらに深刻なケースで会社を辞めることも考えられるでしょう。人事評価は従業員のその後を左右しかねないため、評価者は責任と自覚をもって評価を下す必要があります。
3. 企業が人事評価制度を導入するメリット
企業が人事評価制度を導入することで得られるメリットは数多くあります。特に、生産性の向上や従業員のモチベーションのアップが見込める点は大きなメリットです。
適切に人事評価制度を運用すれば社内の雰囲気がよくなる効果も見込めるでしょう。本章では、人事評価制度のメリットを具体的に紹介します。
3-1. 生産性の向上につながる
人事評価では、従業員の能力や成果に応じて報酬や待遇を決定します。これは従業員の側から考えれば、自身の頑張りに応じてそれに見合った給与や立場を得られるということになるのです。
人事評価を理由に、従業員が積極的に仕事に取り組めるようになる例は多いものです。また、人事評価をすることで従業員の企業理念や目標への理解もつながります。個々の仕事の生産性がアップすれば、企業全体の業績アップも見込めるでしょう。
3-2. 人材育成や従業員の成長につながる
人事評価制度には個々のスキルや能力、潜在的な才能を見極められるという良さもあります。
従業員にはそれぞれ個性や向き不向きがあります。多様な人材がもつそれぞれ能力を発揮してもらうためには、人事評価制度を軸にした人材スキルの管理が必要です。
また、人事評価制度をもとに従業員の今後の課題を洗い出せば、的確な教育や研修による育成をおこなうこともできます。人事評価制度には、従業員の成長をサポートするという側面もあるのです。
3-3. 企業理念や方向性の周知につながる
人事評価制度を導入する際には、あらかじめ従業員に対して企業の理念やビジョン、方針を明示します。具体的な方向性を示すことによって、従業員は企業の考え方を意識しながら日々の業務にあたることができるでしょう。
人事評価制度をきっかけに企業の方向性や理念を理解してもらうことで、従業員が望ましい働きをしてくれる可能性が高まります。従業員の足並みが揃うことは、人事評価制度を取り入れる大きなメリットといえます。
3-4. 社内のコミュニケーション促進につながる
従業員が評価者や上司と十分なコミュニケーションを取れない状態で日々の業務をこなしている職場もあるでしょう。しかし、コミュニケーションが不足していると従業員は相談や報告、提案がしにくくなり、結果的に社内の業務の流れが滞ってしまうケースがあります。
また、コミュニケーション不足によって十分な信頼関係が構築できない例も少なくありません。
人事評価の際には評価者から従業員に対し、評価面談の実施などで適切なフィードバックやコミュニケーションをとる機会を設けましょう。人事評価のフィードバックは、従業員は働きや成果が認められていると感じ、企業や評価者への信頼感を高めることができます。
関連記事:成功例から学ぶ人事評価制度と採用した評価制度の事例
4. 人事評価導入の際には評価基準を意識することが大切
人事評価の方法や基準とする評価ポイントは企業によって異なります。しかし、多くの企業では人事評価を等級制度と評価制度、報酬制度という3つの要素に分けて考えています。
人事評価を導入する際には、この3つのポイントに分類して評価基準を策定していくのがおすすめです。
関連記事:人事評価を作成する際の評価基準についての考え方
関連記事:人事評価制度で重要な3つの基準の評価項目について解説
4-1. 等級制度とは
等級制度とは、従業員の役割に応じて目標や指針を分類する手法です。従業員の職務や立場を踏まえた上で、どのような仕事を期待するのか、どのようなスキルを発揮できるのかといったポイントを評価していきます。
人事評価制度を導入する際には、等級の定義を明示して従業員に目的意識をもたせることが大切です。等級が明示されていれば、従業員は指針に応じて確実にステップアップしていくことができます。
4-2. 評価制度とは
評価制度とは企業の指針を明示した上で、従業員の行動や成果を評価していくことをいいます。個人のスキルや業績、成果などの目標に加えて、企業の行動指針に沿っているか、十分な成長につなげられたかといった点も評価していきます。
評価制度では、達成できたことと達成できなかったこと、今後の目標や指針に分けて従業員へのフィードバックをおこなうのが最適です。
職種ごとに人事評価シートを作成することも適切に評価するための良い方法のひとつでしょう。人事評価シートを作ることで、目標達成ができたかできなかったかが可視化されるため、従業員も人事評価に納得しやすいといったメリットもあります。
関連記事:人事評価シートを上手に活用した人事評価制度の運用管理が基本
関連記事:人事評価シートの具体例「技術職」のチェックポイント
4-3. 報酬制度とは
報酬制度とは、評価をもとにどのような報酬が得られるのかを明示する手法です。報酬というのは給与やインセンティブのことを指しますが、ときには待遇の改善や学習機会の提供といった報酬を提供することもあります。
従業員の働きに対してどのような報酬が与えられるのかを明示することは、従業員に明確な目標や目的意識を持たせることにつながります。
5. 企業が人事評価制度を導入する際の手順とは
人事評価制度は、企業の人事制度の一要素として扱われます。従業員を単純に評価するだけではなく、評価を元に役職や等級を変更したり、報酬や賞与に反映したりといった連携が必須となるのです。
人事評価には、企業理念を周知したり従業員の昇格や報酬を適切に管理したりといった意味合いがあります。人事評価制度を導入する際にはまず、企業の現状を把握し制度導入の目的を見極めることから始めましょう。
5-1. 人事評価項目・評価基準を決める
人事評価制度を導入する場合、評価項目と評価基準について定めなければなりません。評価項目と評価基準が明確でないと、何をもって昇格・降格するのか従業員に分かりません。評価基準があることで、その内容に沿って業務に取り組むなど、従業員のモチベーションになることもあるでしょう。
まずは大枠を決め、その後報酬アップなどのシミュレーションを経て細かい評価基準を決めていきます。評価基準は、企業の計画や目標に合わせて細かく設定することが大切です。
評価を分かりやすくするために、評価項目ごとに5段階評価を取り入れている企業もあります。
関連記事:人事評価の項目はサンプルやテンプレートを見て自社オリジナルにしよう
関連記事:人事評価で悩む5段階評価の割合の考え方の注意点
5-2. 従業員に評価基準を周知し、目標設定をおこなう
評価項目と評価基準を決めた後は、しっかりと従業員に周知したうえで目標設定までおこないましょう。
評価項目・基準を定めても、従業員が知らなければ意味がありません。従業員に制度を周知することで、トラブルなくスムーズに制度の導入を進めることができます。周知することで、従業員が基準に合わせて行動しようとするなど、モチベーションの向上にもつながる場合があります。
また、その評価項目と基準を周知したうえで面談をおこない、目標を設定することも重要です。目標を設定することで、設定した内容が達成できたかどうかの評価をすることができます。
関連記事:人事評価の「目標設定」の重要性や代表的な手法について解説
関連記事:人事評価における目標設定は具体例を参考にすると進めやすい
5-3. 目標達成ができたかどうかを確認し、人事評価をする
面談等で目標を設定したら、その目標が達成できたのかどうかを定期的に確認する必要があります。面談で目標達成ができたかを確認し、その要因まで理解することで、反省と今後の方針も考えることができます。面談後、評価者は目標達成の有無もふまえて人事評価をしましょう。
関連記事:人事評価はどうやって導入する?具体的な方法や流れについて解説
関連記事:人事評価制度の運用に欠かせない「人事評価マニュアル」の作成方法や注意点
6. 人事評価では的確な評価コメントを伝えることが重要!
評価者から従業員に対してのコメントを記載するのが一般的です。
人事評価を実施する際に目標達成率や成果などをシンプルに伝えるのみに留める企業もあります。
しかし、従業員の現在の状況を客観的に示し、達成した内容や改善点を意識してもらうためには、やはり評価コメントが欠かせません。人事評価コメントの内容によっては、従業員からの反感を買ったり仕事への意欲を大きく損ねてしまったりするリスクも考えられるので注意しましょう。
人事評価コメントがマイナス面の指摘に終始すると、従業員のモチベーションは下がってしまいます。コメントではまず実績や業績に触れ、どんな努力や工夫があったのかに関して具体的に言及します。ポジティブな面に触れることで従業員の意欲は高まりやすくなります。また、上司に普段の仕事を見てもらえているという意識を持たせることもできます。
マイナス面に触れる際には、結びの文章で激励するなど、ネガティブな印象を与えないよう配慮することが肝心です。
関連記事:評価者や上司が行う人事評価のコメントは公平性や具体性が重要
関連記事:職種別・職業別の人事評価に対するコメントの例文をご紹介
6-1. 人事評価面談をおこなう
人事評価コメントを伝える手段のひとつとして、人事評価面談をおこなうのも良いでしょう。
面談を設けることで、人事評価をする側もされる側もお互いが人事評価に対して納得できるという効果があります。面談の内容によっては従業員の仕事への取り組み方も変わったり、モチベーション向上に繋がるケースもあります。
7. 人事評価制度の注意点と成功のためのポイント
人事評価には業績の向上やコミュニケーション促進といった多くのメリットがある一方、注意しなければならない点もあります。
特に、評価者や上司の業務が増加してしまう点は人事評価導入の大きな問題点です。また、人事評価の取り入れ方を間違えると社内のモチベーション低下を招くこともあります。
ここからは、人事評価導入のデメリットと、問題を解決し成功に導くための方法を確認していきましょう。
7-1. 評価者に大きな負担がかかることがある
人事評価制度の導入後には、上司や評価者が従業員一人ひとりの業務内容と成果を確認し、評価しなければなりません。。また、目標や評価基準の設定といった準備や、記録や履歴の適切な管理などの諸業務にも手間がかかります。
人事評価制度は担当者の仕事を増やし、大きな負担をかけてしまう可能性もあるため、注意して運用しなければなりません。制度の内容を熟考し、評価者に負担がかからないようなシステムを構築していきましょう。人事評価をするための人事情報を過去から現在まで振り返ることができるような人事管理システムなどを活用することで、人事データを探し出す手間が削減できます。
関連記事:中小企業にとって人事評価システムは必要?メリット・デメリットを知り導入すべきか判断しよう
7-2. 評価に納得がいかないとして、退職やモチベーション低下につながる恐れがある
人事評価の結果は従業員の給与や役職に直結します。そのため、人事評価と従業員自身の自己評価が一致しない場合、不満やモチベーションの低下につながる恐れがあるでしょう。中には、人事評価への不満がきっかけで退職する従業員が出てくるかもしれません。また、評価内容に納得がいかないとして、訴訟など大きな問題に発展するケースもあるので、運用には十分な注意が必要です。
人事評価をする際には、プラスの面を多く取り上げてモチベーションの維持に努めましょう。また、客観的な視点で評価することも、従業員の不満を防ぐ重要なポイントです。人事評価面談をおこない、直接話し合う場を設けることで、従業員も納得感を持って業務に取り組むことができるでしょう。
関連記事:人事評価で考えられる不満とは?訴訟リスクを回避する健全な運用法
関連記事:人事評価の不満で退職が発生すれば企業にとっての大きな損失へ
7-3.評価外の仕事がおろそかになる可能性がある
従業員が評価にとらわれ、のびのびと働けなくなってしまう可能性が考えられるのも人事評価の大きなリスクです。
人事評価の導入後は、評価を下げるような行動を避けようと立ち回る従業員も増えるでしょう。すると、独創性の高いアイディアが生まれにくくなるなどの弊害が生まれる可能性があります。また、評価されない部分の仕事がおろそかになり、業務に支障が生じるおそれもあります。
こういった問題は、人事評価のシステムが正常に機能していないことで起こります。評価にとらわれすぎた状態が続くと、企業全体の生産性にも影響するので注意が必要です。
問題解決のためには、従業員と的確にコミュニケーションを取りながら柔軟に業務を進めていくのが効果的です。
関連記事:人事評価で部下がやる気をなくすのはなぜ?やる気を高める方法を解説
8. 従業員が人事評価に対して不服申し立てをした際の対応
評価者が十分に検討を重ねて人事評価をしても、人事評価の結果に不満を抱いてしまう従業員もいます。
人事評価に対する従業員の不満は不服申し立てにつながることもあります。従業員が不服申し立てをした際には、まず従業員と評価者双方への聞き取りをおこないましょう。従業員からは「何に不満をいだいたのか」、評価者からは「評価の正当性や理由」を具体的に聞き出します。
聞き取りをした後は、双方の解釈に違いがないかをすり合わせたうえで、改善点がある場合、評価方法・基準を変更するなど、改善に努めましょう。
不満や不服申し立てを放置すると訴訟や退職につながる危険性があります。日頃からしっかりと従業員とコミュニケーションをとり、不満をなくしていくことと、状況に応じて評価制度の見直しをおこなうことが大切です。
9. 会社や従業員にとって効果的な人事評価をおこなおう
人事評価制度とは、能力や業績、情意といった評価項目に分けて従業員を多角的に評価する手法です。的確な人事評価制度を導入すれば、組織の目標達成や人材育成、コミュニケーション促進など多くのメリットを享受できます。
ただし、人事評価制度がうまく機能していない職場では、評価エラーや従業員のモチベーション低下といった問題が起こることがあります。制度を導入する際には評価基準を精査し、ポイントを押さえた効果的な運用を心がけましょう。
関連記事:近年の人事評価制度に見られるトレンドの特徴についての解説
関連記事:人事評価がいらない画期的な評価方法が日本でも注目されている!
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
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