年末調整の電子化とは?やり方、企業におけるメリット・デメリットを解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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年末調整の電子化とは?やり方、企業におけるメリット・デメリットを解説

年末調整のブロック

2018年の税制改正により、2020年10月から年末調整に関する書類の電子化が可能となり、電子化を取り入れる企業も増えてきました。

電子化によって手書きの場合よりも手続きが早くできるだけでなく、入力ミスの軽減にもつながり、人事担当者と従業員の双方にメリットがあります。

本記事では、年末調整の電子化の概要や電子化した後の手続きの流れ、電子化する方法について説明します。

関連記事:年末調整とは?【令和7年最新】確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説

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1. 年末調整の電子化とは?

書類の電子化

2020年10月から年末調整の電子化が可能になり、徐々に義務化が進んでいます。ここでは、年末調整の流れを整理したうえで、ここでは、まず年末調整の基本的な流れを整理し、そのうえで電子化の対象となる書類や、電子的提出が義務付けられている手続きについて解説します。

1-1. 年末調整の流れ

企業では毎年11月〜12月頃にかけて従業員から必要書類を配布・回収し、内容を確認したうえで所得税を再計算し、12月給与で過不足を精算するのが一般的です。主な手続きの流れは次のとおりです。

  1. 【企業→従業員】年末調整に必要な申告書類を配布する
  2. 【従業員→企業】申告書類および控除証明書などの必要書類を提出してもらう
  3. 【企業→従業員】1年間(1月1日~12月31日)の所得税額を確定し、過不足を12月給与で精算したうえで源泉徴収票を交付する
  4. 【企業→税務署・市区町村】源泉所得税を納付し、法定調書や給与支払報告書を提出する

このように、年末調整は企業内で完結するものではなく、従業員からの書類提出や税務署・市区町村への各種書類提出など、複数の手続きが密接に関わっています。加えて、源泉徴収票の交付や法定調書・給与支払報告書の提出には、原則翌年1月31日という期限が定められているため、効率的に作業を進めることが欠かせません。

紙での運用を続ける場合、書類の回収・確認、交付・提出といった作業負担が大きく、管理ミスが発生するリスクも高まります。そこで近年注目されているのが「年末調整の電子化」です。電子化によって書類のやり取りがスムーズになり、記入漏れの防止、保管コストの削減、業務効率の向上など、さまざまなメリットが期待できます。

関連記事:年末調整はいつが期限?具体的なスケジュールや提出書類を解説

1-2. 電子化が可能な年末調整の書類一覧

まず、年末調整で使用する申告書類や控除証明書のうち、電子化が認められている書類は次のとおりです。

【年末調整申告書関係】

  1. 扶養控除等申告書
  2. 配偶者控除等申告書
  3. 保険料控除申告書
  4. 住宅借入金等特別控除申告書
  5. 基礎控除申告書
  6. 所得金額調整控除申告書
  7. 特定親族特別控除申告書

【控除証明書等関係】

  1. 保険料控除証明書
  2. 住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除証明書
  3. 年末残高等証明書

引用:年末調整手続の電子化及び年調ソフト等に関するよくある質問(FAQ)(令和7年10月改訂版)|国税庁

また、源泉徴収票についても、従業員の同意があるなど一定の要件を満たす場合は電子交付が可能です。さらに、税務署への法定調書、市区町村への給与支払報告書についても、e-Tax(イータックス)やeLTAX(エルタックス)といった各種ポータルシステムを利用することで、電子的に提出できます。

関連記事:給与支払報告書と源泉徴収票の違いとは?提出先や電子化・一元化のポイントも紹介

1-3. 一部企業では電子化する義務がある

年末調整の電子対応が義務化されているのは、一部の企業における法定調書・給与支払報告書の提出です。

前々年(2年前)に提出した法定調書のうち、同一種類の法定調書が100枚以上であった場合、当年に提出するその種類の法定調書は、e-Taxやクラウドなどの電子的手段で提出することが義務付けられています。

また、給与所得の源泉徴収票の電子的提出が義務付けられる場合、あわせて給与支払報告書の電子的提出が義務付けられる点にも注意が必要です。

例えば、2023年1月に提出した給与所得の源泉徴収票の枚数が100枚以上だった場合、2年後の2025年1月に提出する給与所得の源泉徴収票および給与支払報告書は電子化しなければなりません。

なお、電子化の基準は令和9年1月1日以降、前々年に発行した法定調書の枚数が種類ごとに30枚以上であった場合に引き下げられます。令和7年中に提出する法定調書が30枚以上の場合は、今から電子提出の準備を進めておきましょう。

参考:法定調書の提出枚数が100枚以上の場合のe-Tax、光ディスク等又はクラウド等による提出義務|国税庁
参考:電子データによる給与支払報告書の提出について|渋谷区

関連記事:年末調整手続きの電子化は義務?令和3年からの改正内容を解説

2. 年末調整の電子化のやり方

電子書類と虫眼鏡

年末調整の業務をすべてオンラインで完結させる「完全電子化」のほか、特定の書類や工程だけをデジタル化する「部分電子化」という選択肢もあります。従業員数やITリテラシー、既存システムとの連携状況などを踏まえ、自社にとって無理なく運用できる方法を選ぶことが大切です。

参考:電子化の進め方(勤務先編)~実施方法の検討~|国税庁

2-1. 完全電子化

年末調整の業務を「完全電子化」する場合、主な流れは次のとおりです。

  1. 従業員:マイナポータルや保険会社から控除証明書の電子データを取得する
  2. 従業員:国税庁の年調ソフトなどで申告書類を作成し、控除証明書とあわせて企業へメールや専用システムで提出する
  3. 企業:受け取ったデータをもとにシステム上で年末調整の計算を実施し、従業員に源泉徴収票や給与明細を電子交付する
  4. 企業:e-Tax・eLTAXを使って、法定調書や給与支払報告書を税務署・市区町村へ電子提出する

年末調整を完全に電子化するには、従業員側のIT環境や協力体制が欠かせません。また、マイナポータル連携や電子データで取得した控除証明書の取り込みなど、従業員自身が対応すべき項目も増えるので、事前の周知がより重要になります。

一方、企業側では、年調ソフト・給与計算システム・電子申告システムを連携させるための設定や動作確認が必要です。そのため、年末調整シーズンより前から計画的に準備を進め、必要に応じてテスト運用をおこなうことが成功のポイントです。

参考:年末調整手続の電子化に向けた取組について|国税庁

関連記事:年末調整のペーパーレス化とは?その背景や課題を詳しく解説

2-2. 部分電子化

既存の給与計算ソフトで申告データのインポートができない場合や、従業員が控除証明書の電子データを取得することが難しい場合には、年末調整の部分電子化を活用することで、無理なく業務負担を減らせます。

例えば、従業員側での電子化対応が難しい場合には、申告書類や控除証明書を紙で提出してもらい、その内容を企業側で給与計算ソフトへ入力・取り込むことで、計算処理だけでも自動化できます。また、「控除証明書は紙」「申告書類は電子データ」など、書類ごとに電子化の範囲を分けることも可能です。

さらに、給与計算ソフト自体が年末調整機能に対応していなくても、従業員がマイナポータルや保険会社サイトから控除証明書を電子で取得するだけで、書類の記入ミスや添付漏れが減少し、確認作業の手間が大幅に軽減されます。

このように、年末調整の電子化はすべてを一度に電子化する必要はなく、企業の体制や従業員のITリテラシー、既存システムとの相性に応じて部分的に取り入れることが可能です。自社の課題を踏まえながら、負担の少ないところから着実に電子化を進めていきましょう。

関連記事:【2025年版】年末調整の書類の書き方とは?提出や保管のポイントも解説

3. 年末調整の電子化を進める際の手順

チェックボックス

年末調整を電子化する場合は、順を追って進めなければトラブルにつながり、かえって年末調整の手続きに時間がかかる可能性があります。電子化に向けた手順を確認しましょう。

電子化に必要な手続きの詳細は関連記事もあわせてご覧ください。

関連記事:年末調整をネットで手続きするために必要な準備・方法

3-1. 現状の課題分析と目的の明確化をおこなう

まずは、現在の年末調整業務がどのような流れで進んでいるのかを整理し、各工程で発生している問題点を洗い出します。具体的には、「紙書類の配布・回収に時間がかかっている」「申告内容の不備が多く確認や差し戻しに手間取っている」「従業員からの問い合わせ対応に工数が割かれている」など、担当者の負担となっているポイントを可視化することが大切です。

これらの課題を踏まえ、電子化によって「ミスを減らしたい」「確認作業を効率化したい」「問い合わせ対応を減らしたい」など、達成すべき目的を明確にし、導入の優先順位を決めていきます。目的が明確になることで、自社に合ったシステム選定や運用設計がしやすくなり、電子化の効果を最大限に引き出せます。

3-2. 電子化の方法とシステムを選定する

自社の従業員数やITリテラシー、現在使用している給与計算システムとの連携状況を踏まえ、「完全電子化」または「部分電子化」のどちらを採用するかを検討します。

年末調整を電子的に処理するための仕組みをまだ導入していない場合は、まず基本となるシステムの整備が必要です。国税庁が提供する年調ソフトのほか、民間のクラウド型年末調整サービスなど複数の選択肢を比較し、自社に適したシステムを選定しましょう。

すでにツールを導入している場合でも、最新の税制改正に対応できているかを確認することが重要です。もし対応が不十分であれば、運用に支障が出ないよう必要に応じてシステム改修を検討するとよいでしょう。

2025年の年末調整の変更点は関連記事をご覧ください。

関連記事:2025年(令和7年)の年末調整の変更点!手続きのポイントもわかりやすく解説

3-3. 社内ルールとフローを整備する

導入するシステムが決まったら、社内での運用ルールを明確に定めることが重要です。具体的には、従業員が年末調整の申告書類や控除証明書をどの方法で提出するか(例:システム上での直接入力、メール送信など)、提出締切日、担当部署ごとの役割分担、従業員からの問い合わせ対応窓口など、電子化に伴い変更されるワークフローを具体的に定めましょう。

また、電子化によって扱う個人情報や給与情報は従来以上に慎重な管理が求められるため、データの保管方法やアクセス権限、バックアップ手順など、セキュリティ面のルールもあわせて整備する必要があります。これにより、従業員が安心して電子申告できる環境を整えるとともに、企業としてのコンプライアンス遵守も確実にできます。

3-4. 従業員へ方法を周知する

年末調整の手続きを電子化する場合は、従業員への早めの周知が重要です。電子化により申告方法が変わるため、操作方法がわからずトラブルになるケースがあります。

また、控除証明書等をデータで取得するなど、従業員にも事前準備が必要です。

周知の際は次の3点を伝えましょう。

  • 使用するシステムとその使い方
  • 控除証明書等をデータで取得する方法(マイナポータルから取得できる)
  • 控除証明書等をマイナポータルからデータを取得できない場合の取得方法(保険会社のホームページなどから取得できる)

ITに不慣れな従業員のために、社内勉強会の実施や動画マニュアルの配布など、全員がシステムを使える環境を整えることも大切です。必要に応じて個別フォローもおこない、電子化後に問い合わせが集中して業務負担が増えないよう、周知とサポート体制の両方をしっかり準備しましょう。

3-5. 導入後の効果測定と改善を実施する

電子化は単にシステムを導入して終わりというわけではありません。導入後は、実際に運用がうまく回っているかどうかを継続的に確認することが重要です。

具体的には、書類の提出状況や申告漏れの有無、業務負担の軽減度、従業員や担当部署からの問い合わせ件数の推移、作業時間の削減効果など、定量的なデータと定性的なフィードバックの両面から評価します。

問題点が見つかった場合は、運用ルールの見直しやシステム設定の調整をおこない、改善策を迅速に反映させましょう。毎年度の運用状況を振り返りながら改善を積み重ねることで、電子化による業務効率化や負担軽減の効果を最大化できます。

関連記事:年末調整のよくある間違いと訂正方法・やり直しを防ぐコツとは

4. 年末調整を電子化するメリット

メリットを説明する

年末調整の業務を電子化することで、従来の紙ベースの作業に比べて多くのメリットが得られます。書類の回収や確認作業が効率化されるだけでなく、記入漏れや計算ミスの防止、ペーパーレス化によるコスト削減、さらには書類の一元管理によるコンプライアンス強化など、企業にとってさまざまな利点があります。

4-1. 書類の回収・確認作業がスムーズになる

年末調整の申告書類を電子化して配布すれば、従業員はPCやスマホから直接アクセスし、入力・提出が可能になります。これにより、従来のように紙の申告書を配布・回収したり、未提出者に個別に催促したりする手間を大幅に削減できます。

担当者の確認作業の負担が軽減されるだけでなく、提出状況や確認状況をリアルタイムで把握できるため、業務全体の進捗管理もしやすくなるでしょう。

4-2. 記入漏れや計算間違いを防げる

年末調整の過程で誤りがあると、納税額のずれにつながり、年末調整のやり直しや延滞税・加算税の支払いが生じるおそれがあります。

しかし、年末調整を電子化すれば、従業員から提出されたデータをシステム上で自動的に集計・チェックできるため、記入漏れや計算ミスを迅速に検出できます。

その結果、差し戻しや再確認の手間が減り、正確なデータに基づいて年末調整をスムーズに進められるでしょう。

関連記事:年末調整の再調整は可能!方法やポイントをわかりやすく解説

4-3. ペーパーレス化によりコストの削減につながる

年末調整の電子化を進めることで、印刷・封入・郵送などのコストを削減でき、ペーパーレス化が実現されます。

さらに、年末調整に関わる書類は一定期間の保存が義務付けられており、紙で保管する場合はスペースや管理作業に追加のコストが発生します。しかし、電子化すればこれらの管理コストを大幅に削減できるため、効率的な運用が可能です。

特に従業員数が多い企業では、書類管理にかかる手間や保管スペースの削減効果も大きく、業務効率化とコスト削減を同時に達成できます。

参考:No.2503 給与所得者の扶養控除等申告書等の保存期間|国税庁

関連記事:源泉徴収票の保管期間は?会社側の管理方法と保管義務のある書類を解説

4-4. 書類の一元管理でコンプライアンスが向上する

紙の書類は閲覧権限の管理が難しく、紛失や劣化による情報漏えい、誤った取り扱いといったリスクが高くなります。特に年末調整では従業員の個人情報や所得情報を扱うため、管理ミスが生じると法令違反や企業の信頼失墜につながるおそれがあります。

年末調整に関する書類を電子化し、システム上で一元管理すれば、誰がいつどの情報にアクセスしたかを記録でき、柔軟なアクセス権限の設定も可能です。さらに、必要なデータをキーワードや条件で検索できるので、監査対応や過去データの確認、再計算も迅速におこなえます。

4-5. 従業員側のメリットも大きい

年末調整の電子化を推進することは、企業側だけでなく従業員にとっても大きなメリットがあります。従業員はPCやスマホなどを通じて申告書類を作成・提出できるため、従来の手書き作業に伴う記入・計算ミスを防ぎながら、作業時間を大幅に削減できます。

また、電子化されたシステムでは、必要な控除項目や記入内容の自動チェック機能が備わっている場合が多く、正確性の向上にもつながるでしょう。

さらに、保険会社や金融機関が提供する控除証明書を電子的に取得できる場合、従業員は書類の再取得や内容確認をオンラインで簡単におこなえます。これにより、紛失リスクの低減や申告手続きの効率化が期待でき、従業員の負担軽減に直結します。

参考:年末調整手続の電子化の概要・メリット|国税庁

関連記事:源泉徴収票は電子化しよう!義務基準やメリットをわかりやすく解説

5. 年末調整を電子化するデメリットとその対策

デメリットと書かれたメモ帳

年末調整の電子化には多くのメリットがある一方で、導入・運用にあたっては注意すべき点もあります。ここでは、想定されるデメリットと、その対策をわかりやすく解説します。

5-1. システム導入は費用対効果を見極めて慎重に進める

年末調整を電子化するには、専用システムの導入やクラウドサービスの契約など、一定のコストがかかります。特に従業員数が少ない場合や、既存の業務負荷が軽い場合には、導入コストに対して得られる効果が限定的になることもあります。

そのため、システム導入前には、担当者の工数削減や紙・郵送コストの削減など、具体的な費用対効果をシミュレーションすることが重要です。また、複数のサービスを比較し、自社の業務フローに適したシステムを選定することで、過剰な機能や無駄なコストを避けられます。

5-2. ITツールの操作が苦手な従業員へのサポート・教育を強化する

年末調整の電子化を進めるにあたっては、従業員ごとにITリテラシーの差があることを考慮する必要があります。操作に慣れていない従業員が多い場合、入力ミスや問い合わせが増え、担当者の負荷がかえって増大する可能性があります。

そのため、操作マニュアルや入力例、FAQページを整備し、従業員が迷わず申告作業を進められるようにすることが重要です。さらに、年末調整が始まる前に説明会を実施して注意点を周知すれば、従業員は安心して作業を進められ、申告ミスや計算間違いの防止につながります。

5-3. 障害リスクに備えたセキュリティ・運用体制を整える

電子システムを利用する以上、ネットワーク障害やサーバー不具合、データ消失などのリスクは完全には避けられません。また、従業員のマイナンバーや所得情報を取り扱うので、高いセキュリティ水準が求められます。

そのため、システムを選ぶ際には、信頼性の高いサービスを選定し、アクセス権限やバックアップ体制を適切に管理することが重要です。加えて、障害発生時の連絡フローや、必要に応じて紙での提出に切り替える手順をあらかじめ整備しておくことで、万一のトラブルにも迅速かつ円滑に対応できます。

関連記事:年末調整でマイナンバーは必要ない?正しい取り扱い方を解説

6. 年末調整電子化を成功させるためのポイント

チェックボックスと虫眼鏡

電子化の導入は、単に手続きをデジタル化するだけでなく、業務効率や従業員の利便性向上にもつながります。しかし、導入の仕方次第では負担増や混乱を招くこともあります。ここでは、年末調整の電子化を円滑に進めるための具体的なポイントを紹介します。

6-1. 電子化推進チームの設置と問い合わせ対応の明確化

年末調整を電子化する際は、社内に電子化推進チームを設置し、導入から運用までの窓口を一本化するのも有効な方法のひとつです。電子化に伴う操作手順やシステム不具合に関する問い合わせは、年末調整の集中期間中に一気に増える傾向があります。

そのため、問い合わせ窓口を明確に一本化し、担当部門を限定しておくことで、従業員からの質問対応がスムーズになり、担当者間での混乱や対応漏れも防げるでしょう。

また、推進チームが中心となって操作マニュアルやFAQを整備すれば、従業員が自己解決できる環境を整えられ、問い合わせ件数の削減にもつながります。さらに、チームが導入前後の進捗や問題点を把握することで、翌年以降の運用改善にも役立てられます。

6-2. スモールスタートで導入して運用を改善していく

年末調整の電子化は、一度にすべての業務を完全オンライン化しようとすると負担が大きく、社内の混乱を招く可能性があります。

まずは書類の一部や特定部署から電子化を始める「スモールスタート」で導入することで、運用上の課題や従業員のつまずきポイントを把握しやすくなります。

実際の運用を通じて改善点を積み重ね、段階的に対象範囲を広げることで、無理なく、確実に電子化を定着させられます。

6-3. 関連業務(源泉徴収票・納税手続き)の電子化も同時に進める

年末調整そのものを電子化しても、源泉徴収票の発行や納税手続きが紙のままでは、業務が分断され、効率化の効果が十分に得られません。源泉徴収票は次のいずれもの条件を満たせば、従業員へ電子交付が認められます。

  • 従業員に事前に電子交付の方法と内容を示し、承諾を得ること
  • 映像表示や書面出力が可能であること、および電子交付した旨を通知すること
  • 従業員から請求があった場合は、書面で交付すること

参考:1. 基本的な事項|国税庁

また、年末調整で確定した源泉所得税は、原則として翌年1月10日(納期の特例を利用する場合は1月20日)までに納付する必要があります。紙の納付書を作成し、税務署や金融機関の窓口で納付する従来の方法は、手間や時間がかかります。

そのため、ダイレクト納付やクレジットカード納付など、キャッシュレスによる電子納付への切り替えがおすすめです。このように、源泉徴収票の交付や源泉所得税の納付手続きといった関連業務も電子化することで、年末調整全体の業務がスムーズになり、効率的に進められます。

参考:源泉所得税の納税手続|国税庁

関連記事:所得税の納付方法は?納税方法の種類やおすすめの選び方・納付期限を解説

7. 年末調整を電子化する際のシステムの選び方

電子書類

年末調整の電子化を検討したい方に向けて、システムの選び方を紹介します。

7-1. 機能の充実度: コストに見合った機能が備わっているか

システムを選ぶ際は、単に費用の安さだけで判断するのではなく、導入によってどれだけ実務が効率化されるかを慎重に見極めることが重要です。

具体的には、申告書の作成・提出や内容チェックといった基本機能に加え、従業員への未提出や記入漏れの催促を自動でおこなえる機能があると、担当者は個別に確認や催促の連絡をする手間を大きく減らせます。

また、過去データとの照合作業や法改正対応が自動化されれば、ヒューマンエラーの防止や確認作業の時間短縮が可能となり、業務全体をよりスムーズに進められます。

システム導入の費用対効果を判断する際には、初期費用だけでなく、こうした手間の削減や正確性向上といった実務上のメリットも含めて総合的に評価することが重要です。

7-2. 操作性: スマホやタブレットでも操作できるか

電子化の成功は、従業員が迷わずスムーズに入力できるかどうかが大きなカギです。PC・スマホ・タブレットなど、どの端末からでも直感的に操作でき、画面や案内が見やすくわかりやすいことが重要です。

操作が簡単で案内が丁寧なシステムであれば、従業員は迷うことなく作業を進められます。その結果、問い合わせ件数の減少や担当者の負担軽減につながるだけでなく、入力ミスや確認作業の手間も減り、全体の業務効率が大幅に向上します。

7-3. 連携性: 給与計算ソフトとの連携が可能か

年末調整で作成したデータは、最終的に給与計算や源泉徴収票の作成に活用されます。そのため、年末調整システムを選ぶ際には、現在利用している給与計算システムとスムーズにデータ連携できるかどうかが重要なポイントです。

また、最近の給与計算ソフトには、年末調整機能があらかじめ搭載されているものがあります。このようなソフトを導入すれば、毎月の給与計算から年末調整までワンストップで処理できるので、業務効率が大幅に向上します。

さらに、年末調整システムがマイナポータルと連携可能かどうかも確認しておきましょう。マイナポータルと連携できれば、従業員は控除証明書のデータを自動取得し、そのままシステムに取り込めるため、申告作業をより円滑に進められます。

参考:マイナポータルと連携した年末調整手続|国税庁

7-4. 安全性: 法改正への対応やセキュリティが万全か

年末調整は税制改正の影響を受けやすく、システムの信頼性が特に重要です。例えば、令和7年度の税制改正では、基礎控除や給与所得控除の引き上げに加え、特定親族特別控除が新設されました。

これに伴い、年末調整の申告書類には「特定親族特別控除申告書」が追加され、所得税の計算方法も変更されています。法改正に正しく対応できない場合、所得税計算のズレや納税ミスが生じる可能性があります。

そのため、最新の法改正に迅速かつ正確に対応できる、信頼性の高いシステムを選ぶことが不可欠です。さらに、年末調整ではマイナンバーや給与情報など従業員の個人情報を扱うので、通信の暗号化やデータ保護体制が整っているかなど、セキュリティ面の確認も欠かせません。

参考:令和7年度税制改正による所得税の基礎控除の見直し等について|国税庁

関連記事:年末調整の必要書類一覧|記載する内容や書類の入手方法を徹底解説

7-5. サポート体制: 導入後のサポートが十分か

年末調整システムをスムーズに導入・運用するためには、初期設定や従業員向けの説明資料の作成が欠かせません。導入時に丁寧なサポートがあると、システムを問題なく利用開始できます。また、社内の運用ルールに応じたカスタマイズ支援があれば、さらにスムーズな運用が可能です。

導入後は、運用中に想定外のトラブルが発生することもあります。処理結果が期待と異なる場合などに迅速に相談・解決できる窓口の有無は重要です。加えて、従業員からの問い合わせ対応を考慮する場合は、FAQやヘルプページの充実度、チャットや電話でのサポート体制も、システム選定の重要なポイントとなります。

8. 年末調整の電子化を進めて正確性と効率を上げよう

話し合う女性毎年おこなわなければならない年末調整は、繁忙期と重なる企業も多いでしょう。

少しでも手続きの負担を減らすには電子化がおすすめです。ただし、電子化を進める場合はメリットとデメリットを理解したうえで、従業員にも周知することが重要です。従業員が対応できず、かえって負担を増やすことになるおそれもあります。

電子化を無理に進めると手続きの効率が落ちたり、業務が停滞してしまったりする場合もあります。導入した年からスムーズに手続きがおこなえるよう、準備を進めることが大切です。

作業を効率化したい方はこちらの記事もあわせてご覧ください。

関連記事:年末調整がめんどくさい4つの理由と楽にするコツを解説

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